1.さくらの特性についてのFAQ (質問をクリックしてください)


 ●さくらと呼ばれる樹木は、どのようなグループでしょうか?


バラ科の落葉高木または低木で、おもに北半球の温帯と暖帯に分布します。
サクラ属のうち、スモモ、モモ、ウメ、ニワウメ、ウワミズザクラ、バクチノキなどの亜属を除いたサクラ亜属のものを一般にサクラと称します。

モモ
 
ウメ
 
 
ウワミズザクラ 


 ●さくらと呼ばれる樹木は種?それとも品種ですか?


サクラは、正確には種群で、九つの自生種(ヤマザクラ、オオヤマザクラ、カスミザクラ、オオシマザクラ、マメザクラ、チョウジザクラ、タカネザクラ、ミヤマザクラ、エドヒガン)と二つの外来種(カンヒザクラ、シナミザクラ)が日本に生育しています。これらが交雑して多くの品種が出てきています。

オオシマザクラ(花の形)
 
オオシマザクラ(樹形)


 ●染井吉野は種?それとも品種ですか?


ソメイヨシノは、自然交配か人為的に交配したかは不明ですが、エドヒガンとオオシマザクラが交配した品種といわれています。江戸時代末期に世の中に出回りましたが、すべて接ぎ木苗で厳密にはクローン苗と言われる1本の原木から作られた苗木です。淡い桃色の花弁が魅力の品種で、葉が出る前に一斉に花が咲き一斉に散る姿が日本人の心を捉えています。さらに公共施設に多く植栽されて入学式の頃に咲いていたので、入学式の思い出の中にあるサクラとなっています。また、気象条件や土壌環境によって淡い桃色の色彩が微妙に変化します。

 
ソメイヨシノの花
  
ソメイヨシノの花
 
 
 ソメイヨシノ(樹形)


 ●さくらは、どのような場所を好みますか?


サクラは陽樹で、日当たりを好み、肥沃な土壌を好みます。酸素・水分・養分を多く必要とするため、根が浅い位置で伸びる性質があります。

 


 ●さくらは、どのような場所を嫌いますか?


サクラは、酸素・水分・養分を多く必要とするため、次の場所を嫌います。
「砂質土壌の場所」
海岸などにある砂質土壌は、土壌の粒子が大きくて乾燥しやすく、有機質に乏しく、保肥力や保水力が小さい特徴があります。そのため、樹勢が衰えたり枯死したりします。
「粘質土壌の場所」
水田跡地のような粘質土壌は、通気性や水はけが悪く、根が張りにくい特徴があり、生育不良となります。
「風当たりの強い場所」
海岸や川沿いは景観も良く、サクラの植栽に選ばれることも多い場所ですが、サクラは強風、寒風、潮風に弱い性質があり、樹体が弱ったり枯れたりする原因となります。

海岸(寒風潮風による枯死) 
 
常緑広葉樹下の植栽(日当たりが悪い場所) 


  



2.さくらの開花についてのFAQ (質問をクリックしてください)


 ●さくら(ソメイヨシノ)の開花がまばらに見える理由は何?(@開花が遅い)


質問:今春のソメイヨシノの開花がまだらに見えますが、理由は何でしょうか。
回答:理由は二つあり、ひとつは開花に遅速が生じたため、もうひとつは花芽が少ないことです。春先に気温が大きく乱高下すると開花に比較的大きな遅速が生じ、開花がまばらに見えます。微地形や微気象によって、冷気の留まる場所の花芽は開花が遅れます。

 
開花(まばら) 
 
 
開花(まばら) 
 
 
開花(まばら) 
 


 ●さくら(ソメイヨシノ)の開花がまばらに見える理由は何?(A花芽が少ない)


質問:今春のソメイヨシノの開花がまだらに見えますが、理由は何でしょうか。
回答:理由は二つあり、ひとつは開花に遅速が生じたため、もうひとつは花芽が少ないことです。花芽分化が起きる前年の夏期に栄養条件や日照条件が悪かったりすると花芽が少なかったり花芽が付かなかったりします。そうすると翌春の開花がまばらになります。

 
開花(まばら) 
 
 
開花(まばら) 
 
 
開花(まばら) 


 ●さくら(ソメイヨシノ)の花付きを確認するにはどんな方法があるか?


ソメイヨシノは1か所から数個の花が付く散形花序で、一つのつぼみに複数の花が入っています。普通に元気な木には花の数が4〜5個、花の数が3個以下はあまり元気でない木です。調査方法は、3月下旬頃高枝バサミで東西南北各1本計4本の小枝を取ります。そして、つぼみ(花芽)の数を数えてつぼみの中の花の数を数えます。その結果を集計して平均値を求めます。

ソメイヨシノのつぼみ 


 ●さくらの狂い咲きは、なぜ起こるのですか?


サクラ(ソメイヨシノ)は、前年の夏期に花芽が形成され、冬期に休眠します。そして、一定期間低温にさらされると休眠が打破され、その後に気温が上昇するにつれて花芽が成長して、春に開花するとされています。ところが、台風などで葉が落ちたり、害虫に食べられて葉がなくなると、休眠が打破され、花が咲く(狂い咲きする)ことがあります。

さくらの狂い咲き(思川 2019年10月撮影)


 ●秋から冬に咲くさくらにはどんなものがありますか?


秋に開花する特性の品種として十月桜と冬桜があります。十月桜は10月頃から咲き始め、翌春にも花が咲きます。冬桜は、11月から12月にかけてと春に花が咲きます。この他、ヒマラヤ原産の野生種ヒマラヤザクラが、千葉県では11月に開花します。

 
ヒマラヤザクラ 


 ●山野に生育している山桜にはどんな種(品種)がありますか?


山に生育しているから「ヤマザクラ」というわけではありません。山野に生育しているサクラの種は、千葉県ではヤマザクラやオオシマザクラなどがあり、あわせて自然に交雑した品種が自生しています。偶発実生という形で新しい品種が発見されています。つまり、「山野に生育しているいろいろな種や品種」がヤマザクラの実際の姿です。

山に咲くサクラ


 



3.さくらの管理についてのFAQ (質問をクリックしてください)


 ●さくらは剪定・整枝しなくても良いですか?


「サクラ切る馬鹿、ウメ切らぬ馬鹿」とよく言われていますが、サクラも樹形を崩す枝が多く発生し、剪定・整枝を怠ると、樹形の悪いサクラとなります。サクラは、腐朽菌に犯されやすい性質がありますので、枝が細い早めのうちに剪定するか、整枝する場合には、腐朽菌の侵入しにくい方法(切る位置と癒合剤の塗布)を実施してください。

 
 悪い樹形のソメイヨシノ


 ●さくらはどのように剪定・整枝したら良いですか?


サクラの枝葉が伸び花芽が多く付くためには、日光が必要です。そのため、枝が重ならないように枝の配置を調整します。具体的には、苗木の植栽後3〜4年に樹芯が1本になるように剪定します。そして、細い枝のうちに伸ばす枝を決めて、それ以外の枝を剪定します。翌年には同じような場所から萌芽してきますので、毎年こまめに剪定します。

 
萌芽枝  
 
剪定手順 


 ●さくらの管理でどんな病害虫に注意したら良いですか?


病害としてはてんぐ巣病があります。タフリナという糸状菌が原因とされる伝染力の弱い病気ですが、知らないうちにまんえんしており、花付きが悪くなります。特にソメイヨシノがよく感染します。虫害としてはコスカシバによる被害があります。幼虫が幹に穿入し、ヤニを発生させて木を弱めます。

てんぐ巣病 
 
コスカシバのやに


 ●ウメノキゴケの対策はどのように行いますか?


ウメノキゴケは地衣類の一種で、下部の偽根で張り付き、共生している藻類の光合成で生活しているので、樹木から養分を吸収していません。しかしサクラは、通気性を好み、樹皮の皮目からも呼吸していることが多いので、樹勢が弱ると言われています。防除方法としては、金ブラシではぎ取る方法や動力噴霧器の水圧で除去する方法が実施されています。薬剤としては、石灰硫黄合剤の散布や木酢液の塗布があります。

ウメノキゴケ 


 ●さくらの施肥の時期は?


元肥は冬期(12月〜2月)に実施してください。肥料は、完熟堆肥、鶏ふん、牛ふん、油かすなどの遅効性のものを施用します。追い肥は6月頃実施し、即効性のある化成肥料を施します。



 ●土壌改良の方法は?


踏みしめなどで土壌が固くなると、根の成長に障害が起き、樹勢が衰えます。局部的な土壌改良として空気管の設置もあります。塩ビ菅やモウソウチクの管に孔を開けて、その中に砕いた木粉、もみ殻、緩効性肥料等を入れ、根の周りに埋め込みます。そうすると水分と空気と養分が供給され、土壌が改良されます。

空気管 
 
空気管の埋設


 ●さくらの寿命は何年くらいか?


ソメイヨシノの寿命がよく話題になりますが、種類(品種)や管理方法によって寿命に大きな差が出てきます。サクラの古木で有名なものはヤマザクラ、シダレザクラ、エドヒガン、オオシマザクラなどで、数百年経たものが現存しています。

ヤマザクラ(樹齢300年) 
 
 
しだれ桜(樹齢300年)  


 ●さくらはどんな種類が好まれていますか?


人の好みは千差万別です。しかし、どのような種類(品種)が多く植栽されているかと言えば、まずソメイヨシノです。公共の場所等で最初に植栽される品種です。そして、最近多くなってきたのが河津桜です。ソメイヨシノより早く咲き、しかも濃い桃色の花を付けます。早春に咲くサクラと して人気が出ており、早春にサクラを二度楽しむ人が増えています。

ソメイヨシノ
 
河津桜の原木


 ●さくらの樹の更新はどのように判断しますか?


街路樹の更新判断の一つに地上部の衰退度判定を行っており、サクラでも適用できます。具体的には、生育状態が極めて劣悪で自然樹形がほぼ崩壊しているか、ほとんど枯死している場合に更新の対象となります。また、木質腐朽菌により腐朽が進んで空洞化や腐朽が進んでおり、強風時に倒木する危険がある場合も更新の対象となります。



 ●良い樹形、悪い樹形とはどんな状態ですか?


良い樹形とは、@幹がはっきり存在する、A主枝・亜主枝がバランスよく配置されている、B形を崩す枝が除去されている、C枝の付け根で切断され、見苦しい枝がない、D病害虫に加害されていない。
悪い樹形とは、@幹の上部が枯れている、A樹木に勢いがなく、枝張りが悪い、B胴ぶき枝、徒長枝、根ぶき枝等が成長している、C細い枝が多く混んでいる、Dてんぐ巣病やコスカシバなどの病害虫に加害されている。
・・・です。

良い樹形 
 
悪い樹形


 ●さくらはいつ移植すれば良いでしょうか?


基本的には移植しません。移植は根を切断することであり、サクラの樹勢に影響します。特に夏期前の移植は、水分の供給が制限されることになり、 根からの水分供給が不足すると落葉します。最悪の場合には枯死することになります。根を切断した分だけ樹勢が衰え、地上部が落葉・枯死します。

 
移植による枝先端の枯れ 
 
 
移植の失敗事例 


 



4.千葉県のさくらについてのFAQ (質問をクリックしてください)


 ●千葉県には、どんなさくらの名所がありますか?


千葉県さくらの会が製作した「市町村が薦めるさくらの名所」に掲載されているさくら名所71か所を整理してみると、次のような傾向が見られました。
@ 植栽場所:公園(36%)、親水地域(20%)、社寺・城かく(20%)、道路(14%)
A 植栽形態:広場(面的)(58%)、並木(線的)(34%)、その他(一本桜、山腹)
B 植栽種・品種:ソメイヨシノ(85%)、カワズザクラ(3%、2か所)、しだれ桜(6%、4か所)、ヤマザクラ(6%、4か所)

(注)さらに知りたい方は、「市町村が薦めるさくらの名所」のコーナーをご覧ください。

公園:袖ケ浦公園(袖ケ浦市)
 
親水地域:八鶴湖(東金市) 
 
 
大多喜城(大多喜町) 
 
広場:あけぼの山公園(柏市) 
  
並木:房総カントリークラブ入口(睦沢町)
 
 
吉高の大桜(印西市) 
 
 
ソメイヨシノ:さんぶの森公園(山武市)
  
 
カワヅザクラ:遊歩道(勝浦市) 
 
 
しだれ桜:古泉院(鴨川市) 


 ●千葉県には、どんなさくらの古木がありますか?


千葉県内に生育するサクラ古木としては、ヤマザクラ、しだれ桜、ソメイヨシノなどがあります。その概要は次のとおりです。
@ ヤマザクラ:吉高の大桜(印西市吉高)、沢の大桜(香取市沢)、黄門桜(匝瑳市飯高)が古く、樹齢300年と言われています。
A しだれ桜:社寺に植栽されたサクラが多く、弘法寺の伏姫桜(市川市真間)、東漸寺のしだれ桜(松戸市小金)、清龍院のしだれ桜(流山市都借)、福星寺のしだれ桜(四街道市吉岡)、長光寺のしだれ桜(山武市埴谷)が樹齢200年以上と言われています。
B ソメイヨシノ:最も古いソメイヨシノは市西小学校の百年桜(市原市海人有木)と言われており、それ以外にも永治小学校の百年桜(印西市浦部)、本埜第一小学校の大桜が100年を越えるとされています。

ヤマザクラ:吉高の大桜(印西市吉高)
 
ヤマザクラ:黄門桜(匝瑳市飯高)
 
 
しだれ桜:長光寺のしだれ桜(山武市埴谷)  
  
 
しだれ桜:福星寺のしだれ桜(四街道市吉岡) 
  
ソメイヨシノ:市西小学校の百年桜(市原市海士有木) 


 ●千葉県から登録されたさくら品種はありますか?


千葉県で見つけられて登録されたサクラ品種として「鎌足桜」と「C澄しだれ」があります。鎌足桜は、藤原鎌足公伝説のある品種で、木更津市の旧家で育てられていた祖株が衰弱してきたため、2004年に伝説の由来する高蔵寺境内(木更津市)に移植されました。ヤマザクラ系の八重桜で、4月中旬から下旬にかけて開花します。また、C澄しだれは、清澄寺(鴨川市)に原木があり、国立遺伝学研究所が登録したしだれ桜です。マメザクラとオオシマザクラの交雑種と考えられ、中輪の白ないし淡い紅色の一重咲きで、4月上旬から中旬に開花します。

鎌足桜祖株(高蔵寺) 
 
鎌足桜